今回は「書籍:一倉定の社長学シリーズ01経営戦略」です。
特に、「倒産理由と再生へのコツ」の点について、伝えていきます。
[要約]倒産理由と再生のコツ
倒産理由と再生へのコツ
[1Point]
倒産理由=一業界への依存経営
[2Point]
再生=多角化(同種技術を他業界へ)
[3Point]
注意=別商品は多角化でない!
[1Point]倒産理由
【倒産理由】
・一つの業界に固執すること
例をとってみていこう。
バルブ製品の企業があり、そのバルブ製品を石油業界に提供していました。
石油業界一社でなく、数社取引を行っていましたが、その企業は倒産してしまった。
さて、あなたは倒産した理由が分かりますか?
答えは、業界の集中化のためでした。
この企業は、「取引先」が数社ありましたが、
その「取引先」は、同業界に偏っていました。
一つの業界に固執することは、次の2点の問題があります。
【一つの業界依存のデメリット】
(1)業界の斜陽化
(2)季節変動が一緒
詳しく見ていきましょう。
「(1)業界の斜陽化」は、石油業界が低迷しだすと、取引先すべてが業績悪化になりますね。
そうなると、その業界の全ての取引先から、取引量も制限され、バルブ会社の売上は激減してしまいます。
その業界が好調な場合は、取引先の業界を固めることで、知識が深まり、取引がスムーズになりやすいです。
ただ、不調が急に来た場合、すべての取引量が激減するため、相関関係にない業界への取引先も重要になります。
「(2)季節変動が一緒」も見ていきましょう。
同業界の取引先の場合、発注が少ない月は、同じ時期になります。
そうなると、工場の稼働率も低下し、資金回収も同時に困難になります。
その月が、数か月続く場合、毎年同じ時期に、資金ショートへの対応が必要になります。
発注量が多い月は、売上高も増加するため、良いですが、やはり安定性に欠けます。
そのため、企業経営においては、「業界への分散」は非常に大きなキーワードになります。
[2Point]再生のコツ
【再生のコツ】
・多角化(同種技術を他業界へ)
「土木用のコンプレッサーを製造する企業」を例にとって見ていきましょう。
この企業も、先ほど取り上げた倒産傾向の企業です。
業界は、土木に依存していました。
そこで、依存体質の脱却を図るため、他の業界へ進展していくようにしました。
調査の結果、「工場用コンプレッサー」や「家電用コンプレッサー」、「冷凍機用コンプレッサー」に需要があることが分かりました。
そこで、「冷凍機用コンプレッサー」に焦点を当てていきました。
そうすることで、この企業は2つの業界に分散することができています。
【業界】
・土木用コンプレッサー
・冷凍機用コンプレッサー
重要な点は、土木用で培ったコンプレッサー技術を生かし、冷凍機用に繋げている点です。
ちなみに、初めは、下請けで冷凍機を請け負ったそうです。
コンプレッサーは同じでも、冷凍機の知識などがないため、下請け期間があることで、収益も得れて、自社製品開発への準備も図れるためです。
このように業界を広げることで、次の2点の効果があります。
【業界を広げることの効果】
・業界の分散=収益の安定
・業績の向上
もし、土木が不景気になったとしても、冷凍機が同じ不況につながるとは言えませんね。
そのように、一つ目が不調でも、二つ目があれば補うことができます。
特に、一つの業界に依存していて好調な時期こそ、二つ目の業界への展開を図っていく必要がありますね。
事業を始めたばかりは、一つの業界に依存してしまいますが、二つ目の業界展開の重要性が少し伝わっていただければ幸いです。
[3Point]注意
【注意】
・別商品は、多角化でない!
先ほどのコンプレッサーの企業の話です。
多くの企業が陥りやすい話をしていきます。
依存体質に危機感を感じて、別に分散を図っていこうと考える社長も多くいます。
ただ、方向性を間違える社長がたくさんいます。
それは、「商品」を広げようとすることです。
上記企業は、「コンプレッサー」から、同業界の「クラッシャー」を開発していこうと考えました。
その考えを、一倉氏に相談した結果、「クラッシャーの開発」でなく、「取引先の業界分散」に移っていきました。
なぜ「クラッシャーの開発」という別商品は、ダメなんでしょう?
それは、次の点です。
【他商品への開発展開の注意点】
(1)業界の分散が図れていない
(2)新商品開発への設備投資が必要
(1)業界の分散が図れていないでは、2Point目の話です。
商品を広げていっても、不況になれば別商品であっても発注される可能性は低くなります。
そのため、分散のために行ったつもりが、分散効果をえれず、業績悪化につながりやすいです。
また、「(2)新商品開発への設備投資が必要」では、新商品開発のため、新しい設備が必要になりますね。
また、コンプレッサーで培った技術が生かされず、また別の技術を得ていく必要があります。
コンプレッサー技術の強みを生かさず、別技術に注力することは失敗する商品を生み出しやすくなります。
また、クラッシャーのための設備をかけると、もし失敗商品の場合、その設備の購入金負担がかかります。
設備の購入も倒産確率を高めます。
【設備投資の注意点】
固定資産に大きな資金を固定する
多額の資金を固定資産にすると、流動性も低く、資金ショートの可能性を生み出します。
一倉氏は、ファブレスは事業経営の成功事例としても捉えています。
極力、資金を使わず、開発などの強みに焦点を当てて、事業経営を行うことは、経営の王道といえそうです。
成功確率を高めるために、次が重要になります。
【本当の多角化】
多角化とは、「同種技術の他業界」
内部、つまり技術は専門家
外部、つまり市場は多角化
ちなみに
一倉定氏は、社長への指導にこだわっていました。
企業を変えれるのは、優れた社員や主力商品、会社の規模でなく、「社長」次第であるという信条の元です。
また、「民主主義」より「社長中心」の経営こそが、優良な企業と説いてます。
民主主義は正義と捉えられがちです。
ただ、経営における民主主義は、経営の放任と捉えられます。
インプットの「②事例」でした♬
今回の内容を参考にして、
あなたの会社の業績向上に繋がれば幸いです。